【緊急提言】登戸の通り魔事件を考える:どう対処すればよいのか?

悲惨な事件が起きてしまいました。心の安寧が保てません。

犯人は自殺し、証言も取れません。

ただ、「死ぬなら自分だけで死ね」と言うのは避けなければいけません。

「次の凶行を生まないため」です。

分かりやすく諭す、Yahoo!ニュースに載った藤田孝典さん(NPOほっとプラス代表理事 聖学院大学人間福祉学部客員准教授)の記事を転記します。なるほど。これは的を得たコンテンツだと私は思いました。

また、それに続いてこの事件についての私なりの考察も記します。



川崎殺傷事件「死にたいなら一人で死ぬべき」という非難は控えてほしい(藤田孝典) - Yahoo!ニュース (2019.5.28 13:10)

  ********(抜粋)********

秋葉原無差別殺傷事件など過去の事件でも、被告が述べるのは、

「社会に対する怨恨」
「幸せそうな人々への怨恨」

である。

要するに、何らか社会に対する恨みを募らせている場合が多く、「社会は辛い自分に何もしてくれない」という一方的な感情を有している場合がある。

類似の事件をこれ以上発生させないためにも、困っていたり、辛いことがあれば、社会は手を差し伸べるし、何かしらできることはあるというメッセージの必要性を痛感している。

「死にたいなら人を巻き込まずに自分だけで死ぬべき」「死ぬなら迷惑かけずに死ね」というメッセージを受け取った犯人と同様の想いを持つ人物は、これらの言葉から何を受け取るだろうか。

やはり社会は何もしてくれないし、自分を責め続けるだけなのだろう、という想いを募らせるかもしれない。

その主張がいかに理不尽で一方的な理由であれ、そう思ってしまう人々の一部が凶行に及ぶことを阻止しなければならない。

そのためにも、社会はあなたを大事にしているし、何かができるかもしれない。社会はあなたの命を軽視していないし、死んでほしいと思っている人間など1人もいない、という強いメッセージを発していくべき時だと思う。

人間は原則として、自分が大事にされていなければ、他者を大事に思いやることはできない。

社会全体でこれ以上、凶行が繰り返されないように、他者への言葉の発信や想いの伝え方に注意をいただきたい。

  ********(以上)********



加害者とて心の痛みは半端なものではない


少しニュアンスは違うことを承知の上で、差別を受ける、社会から阻害される、それがいかに厳しいことかの例をあげます。

下記はソフトバンクの孫正義さんが日経ビジネスに2015年に語った、ある種の赤裸々な告白、それは在日という差別に真っ向から向き合った、その生きる姿勢です。

周囲の家族の反対を押し切って、安本という日本名を捨てて、孫というパスポートの名前を使うことに決めた。それによって親戚一同は「在日なんだ、おまえもキムチ組か」と周囲の日本人に気付かれ、つらい立場になる。言われなき差別を受ける。

それでも、そういう立場の人たちに無言の応援をしたい、

「差別反対」と言うより100万倍効果がある。

堂々と逆風の中で仕事して、事業をして、成果を出せば青少年に希望を与えられるんじゃないかと考えたのです。周囲には「俺は親戚だと言わないで言い、他人のふりをしていていい」そう告げたそうです。

ソフトバンクの孫さんですら自殺を考えたと。それほど差別と孤独はつらいことなのだと語ります。人間故に差別やいじめは無くならない。であれば、対処方法を誰もが身につけるのが良い方法だと思います。

その対処方法とは何か。



どう対処すればよいのか?


私は社会の寛容度を上げる、これが解決策だと思っています。

どの時代にも孤立する人達は居たでしょう。それを外に発散する方法に、自分を含めた殺人を選ぶという究極の選択は、過去にもあったのだと思います。それを「村八分」のような抑止力で周囲が見張る、ある意味細かいケアが出来ていたわけですが、それが現代では希薄になってしまい、抑止力は機能しなくなった。

では、社会の寛容度を上げるにはどうすれば良いのか。

人と違うことは自然の事、「人と同じ方が不自然である」という日本人の基本概念の真逆の共有観念を、誰もが持つことが必要だと思います。

これは日本だけではなく、欧州では以前から始まっています。

他人の価値観を認めよう。価値観の多様性を認めようという動きです。

その真逆が排斥運動ですが、欧州でもそのジレンマに論議がおこっています。これは先進国と言われる国がいずれも抱える問題なので、解決できるととても良い世界が来ると思います。



人類の歴史は殺人の歴史


一線を超える、まさにこの一言に凝縮されていると感じます。

不満を表す方法は無限にありますが、「殺人」という究極の方法に訴える、実行できるという心が「病んでいる」と考えるのが妥当だと私は思います。個人が社会に寄り添うか、社会が個人に寄り添うか。このバランスというのは時代と共に変わり移ろいやすい傾向があります。定まったものは何もありません。

ひとつ普遍的な原則は「人を殺してはいけない」という譲れないルールです。抑止力が必要ですが、刑罰は死のうとする人や捕まっても構わない人には何の抑止力にもなりません。

人を殺すという事象において、人間という動物は「案外簡単にこの一線を超える」ことを歴史が証明しています。近代でも人類は二度の大戦を起こしてしまいました。

1932年、国連の要請に応じて20世紀の英知である二人、アインシュタインとフロイトが「ひとはなぜ戦争をするのか」というテーマで往復書簡を交わしました。第1次世界大戦は、日本にとっては大勝利なので政治家とすると嬉しい出来事でしたが、欧州にとっては初めての大量兵器で夥しい人が殺された歴史初の戦争でした。

それを悼む意味で決して戦争を起こさないためという意味で国連が二人に依頼して実現しました。

それをいま読むことが出来ます。とても示唆に富むことが書かれています。この通りだったら良いなあと思います。しかし人類は第二次世界大戦に突入しました。人類に英知があったのに、戦争を止めることは出来ませんでした。

このように、人間の歴史から戦争の二文字を消し去ることは出来ません。であれば、何らかの抑止力が必要となりますが、言論はそれには不足です。

人類は常に愚かです。それは有史以来の歴史を見れば納得できます。理想は裏切られ、現実が突き付けられます。

人類は愚かである、これを基本に物事を考えれば、答えはおのずと出てくると私は思います。

アインシュタインとフロイトの往復書簡は、下記の講談社学術文庫から600円(税別)で売られています。養老孟子さんと、斎藤環さんという優れた論客が解説を加えていますので、一度手に取ってお読み下さい。きっと理解の参考になると思います。


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講談社
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Quoraでもこの問題を考える


Quoraでもこの事件を扱っています。様々なご意見が出てきています。ご参照ください。

「登戸駅で児童が次々と刺され、犯人も自殺しました。自爆テロのような自分も死ぬ覚悟で捕まえられるのが想定内の場合は刑罰による抑止効果では防ぎようがありません。どうしたら良いですか?」
https://qr.ae/TWGtWG




対処療法では・・・


話を今回の通り魔殺人に戻すと、抑止力を設けるのは極めて難しい。世界中で起こっているテロと同じです。イスラミックステートはスリランカのテロの様に事前に察知することが可能でしょうが、このような社会が生み出してしまったモンスターを止める手立てがありません。

私が慣れ親しんだベルギーでは、子供の送り迎えは親の仕事です。これを考える時期に来ているのだと思います。そんな不自由なという事は簡単ですが、物事は不可逆変化であることに気付く必要があります。安全を最優先するか否か、選択の時期に来ているのかもしれません。

もちろんこれは「対処療法」でしかないのが残念です。



この問題の解決への模索は続く


秋葉原無差別殺傷事件以降も同様の凄惨な事件に対する抜本的な対策は生まれませんでした。そしていま、また事件が起こってしまいました。

これは社会に「考えなさい」「答えを出しなさい」と言っているのだと思います。

ここからがスタート。自分の身にいつ降りかかるか分からない、この予測不可能な暴力に対して、どう対処するか、一人一人が考える良い機会が与えられたと私は捉えています。

この事件を踏まえて自分の身は自分で守るという、本来当たり前の原則に立ち戻る、それを考える好機になっています。答えは自分で出す。その答えが社会の答えになる。そう私は思います。



ではでは@三河屋幾朗


参考
三河屋幾朗ってどんなヒト?
ダブルインカムからシングルインカムへ
ダブルインカムからシングルインカムへ その2
快感:社会の鎧を脱ぐ
3時ラー なるもの
外国人を家に招く
LGBTとの出会い
褒めるときは褒める
しかる時は しかる:国交省に電話する
デモに参加するということ
お金を使うか、お金に使われるか
一番好きな言葉: 小欲知足

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