続・英語は40歳を過ぎてから

前回のポスト、英語は40歳を過ぎてから は大きな反響があって、自分でも驚きました。

「英語は40歳を過ぎてから 三河屋」で検索すると、トップに出ます。あらまあ。

それで、より実践的な英語の習得方法をここに記そうと思います。

皇室行事でベルギーの友との再会


続編を書こうと思ったきっかけは、Quoraという智の泉に、

どうしても英語がうまくならないのですが、どうすればいいですか?

という質問が投稿されました。沢山の方がご自身の体験を含めて語られてます。市販の「これであなたも英語が話せる」的な本を読むよりも実戦的です。そのうえゼロ円です。

そこに最初に回答された方、池辺卓郎さんが素晴らしい回答をされて感嘆しました。

それを応援する意味も含めて、自分の体験的英語習得論をそのQuoraに回答として載せました。以下に転記します。



智の泉 Quora で回答する


以下に転記します。ポイントは「英作文」です。

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40歳から英語を勉強しました。
日米欧をエンジニアとして渡り歩いたのちに「地球を遊ぶ」をモットーに世界を旅する自遊人です。朝3時から世界中の友人と自宅のPC上で楽しくコミュニケーションしています。朝の3時は欧州の夕方ゴールデンタイム。南米は昼3時、アメリカはビジネスが始まったばかりです。インドはまだ寝てます。
「英語で話すコツって何ですか?」
突然なのでビックリしました。セブンイレブンの若い店員が目の前に立っていました。我家にやってきた二人のオーストラリア人を自転車で見送りに行った時のことです。彼らと一緒に入った千葉の片田舎のセブンイレブンで、お店のユニフォームを着た、好青年を絵に描いたような若い店員さんが、何の前触れもなく私に声を掛けてきたのです。もう60歳になろうとする男が、190センチを超える外人と英語で会話しているところを見ていたのでしょう。真面目そうな青年で、真摯にストレートに聞かれたので、一瞬考えてから答えました。
ここに書いてあることは実話です。
これは英語教材でも、勧誘でもありません。体験的英語習得した私の実体験から、だれもが英語を話せるようになってほしいと思って私の周囲の人たちに伝えた文章です。英語は「身に付ける」もので単なる道具でしかありません。最初の回答者の池辺拓郎さんがお答えになっているように、作文能力がまず必要です。
私はメモ帳に英語で日記を書くことから始めました。いま見るとそのつたない短い文章が愛おしいです。その日あったことをたった三行くらい、短い文章で書いてみました。次の日はその三行を元に周囲の人に話をしてみました。

私がいたベルギーでは普段はフレミッシュ(オランダ語の派生語)なので会話は全く分かりません。英語で話しかけた時だけ英語で返ってきます。英語が耳に慣れるなどあり得ない環境です。
話す場合でも、自分で書いた文章だから単語も覚えています。それをネタに3分、5分と会話できるようになりました。あとはそれを「違う相手に繰り返す」だけです。それを毎日繰り返しているうちに、ノートはこうなりました。


旅先で英語が出来ない若者にゲストハウスでたびたび出会います。英語が不安だと言います。なのでこう言います。
初対面で会って話すことなんて決まってます。10くらいの会話を紙に書いて覚えて、10人に同じことをやってみてください。そうしたら、答えられなかったり、相手の言っていることが分からなかったりするでしょう。そうしたら相手に聞いてください。それどういいう意味?その単語の意味は?スペルは?いま言ったことはこういくこと?英語が上手じゃないのでわかりやすく教えて・・・、そう頼まれて無碍に会話を断る人に会ったことがありません。
こうやって最初の10人が終われば、言い方と答え方が実践の中で分かるので、相当の自信が付くと思います。これを10回やればもう無敵。100人と会話した実績は心を強くします。
英作文すること、それを使うこと、そしてそれを使う現場を求めること、この3点が英語習得の体験的近道だと私は考えます。

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池辺卓郎さんの回答


先の池辺卓郎さんのご回答も転記させていただきます。英語版のQuoraでも回答されているます。インプットの学習を進めています。またこの意見も面白い。

・英語環境に飛び込め ⇒ は理想に程遠い
・沢山使えば上達する ⇒ 拷問です
・間違いは恥じゃない ⇒ 耳タコは最悪中の最悪

 ー ー ー ここから ー ー ー
この質問、非常に良い質問だと思います。なぜ非常に良い質問かというと、日本人の英語に対する悩みや考え方、接し方を、非常によく反映しているからです。Quora日本語版に回答をつけるのは初めてなんですが、回答したくなってしまいました。
まず達成すべき目的が「うまくなる」という漠然としたものです。その手段も「どう」したらいいかと、回答者に丸投げです。これは質問者の質問の仕方が悪いわけではないと私は思います。英語ができない(と自分で考えている)日本人は、この漠然とした問いを持っているものなんです。この質問に真剣に答えることが、多くの日本人の英語力向上に貢献すると私は考えます。だから本当に、良い質問なんです。
なぜこういう質問になるのか?理由の一つは、他の回答者も挙げていますが、多くの日本人にとって英語に差し迫った目的・必要性がまったくないことです。曰く:
  • 英語は将来なんとなく必要のような気がする
  • 英語は必要だとみんな言っている
  • 英語ができると高い給料が貰えそう
  • 今の仕事で英語はあまり使わないけど、できるともっと認められるかもしれない
  • 今の仕事で度胸英語を使っていて、困りながらも仕事はできてなくはないけど、上手くなればもっと楽かも
  • 会社が英語力を向上しろと言ってる
どれもこれも、英語を勉強する「具体的な」目的であるとか、「差し迫った」必要性がまったくない状態です。この状態で目的を表現すれば「うまくなるのが目的」というのが非常にしっくりきます。
英語学習の手段に関しても、日本にいて英語学習の方法を聞いたことがない、なんて人はいません。むしろ、情報は掃いて捨てるほどある。あらゆる場所に英語学習の本があり、あらゆる場所に英語教室の広告がある。英語できる人も、何人かは身の回りに居る。それなのに何をどう取捨選択していいかわからない。膨大な情報を浴びせられているからこそ、このような質問になるんだということが見て取れます。意識高い人のアドバイスは、大抵パターンが決まっています。曰く:
英語を必要とする環境に飛び込みなさい。必要性があれば人はやります。
日本国内に居ては到底現実的でないような正論ですね。そのような場があるとしても、取っかかりもコネクションもないし、たとえ「英語を喋る会」を見つけても大抵、英語のできない日本人で構成されていて、ほぼお通夜状態で発言はありません。かといって、まれに見かける外国人に勇気をふりしぼって話しかければ「英語の練習のダシにされることを嫌う」人に軽くあしらわれるでしょう。
たくさん使えば上達します。機会を作ってたくさん喋りましょう。英作文もしましょう。
英語ができない人にとっては拷問でしかない正論ですね。これを実行すれば三日坊主になるどころか、手すら付けられず、より一層英語に対する壁を感じて、諦めることになるでしょう。一文作文するだけで文字通り、一日が終わります。大袈裟ではありません。私の高校生の頃は英語の宿題がたくさん出ていましたが、多くの場合、英作文はたった一文だけでした。それができない高校生は沢山いました。私もその一人でした。あれこれ頭をひねった末、ほとんど意味の通らない文章を完成させ、翌日、授業で出てきた模範解答はまったく違うものでした。学生が何人か当てられて宿題の答えを黒板に書き、先生が解説をしながら修正していきますが、多くの場合「全消し」と呼ばれ、修正を重ねるうちに、オリジナルが単語一つ残らず全部書き換えられてしまう現象が発生しました。
間違いは恥ではありません、たくさん間違って覚えましょう。
耳タコ。正論ですが、もう、最悪中の最悪です。このアドバイスに何の意味があるのでしょうか?小学校の頃から正解を出すことを教えられ、間違いは赤っ恥でした。乗り越えられるものなら英語が下手なままぐずぐずしてるわけがありません。私は高校生の頃、海外旅行に行って、英語をなまじ一言喋ってしまったがために、あのときの発言が文法的に間違ってなかったか何年間も気になり、フラッシュバックし、夜になると眠れず、叫び、飛び起き、その記憶が薄れて過去の思い出だと感じられるようになるまでに20年以上かかりました。今でも完全に乗り越えた自信はありません。決してジョークでも何でもありません。英語ができる人が読むと、まさかそんなわけはない、誇張だろう、と考えるかもしれませんが、神に誓って一切の誇張はありません。実際にフラッシュバックし、苦しむのです。ですので私は間違いを恐れ、それ以降の人生では英会話は徹底的に避けました。「間違いを恐れずたくさん喋りましょう」となどと無責任に言う人は、このストレス障害の責任を取れるのでしょうか?
日本にいて、今より英語力を向上させたいと思っている人は、当然、これらのようなアドバイスは目に、耳にしているに決まってます。そのうえで「どうしたらいいか」と聞くんだから、上記のアドバイスは全く機能しなかったと考えるのが妥当です。にもかかわらず、似たようなアドバイスをしてしまう人が後を絶ちません。英語のできる人と、できない人の間にある壁というのは、かように高いものです。
すなわち「差し当たってやる必要がないものを」「今の生活や、考え方を変えずに、お金もかけずにできる範囲で」「英作文・会話などという、苦痛や恥ずかしさをともなう練習をせずに」「なんとなく英語が上手い状態になりたい」。これが、偽らざる本音なわけです。
困りましたね。
とはいえ、このような状況だと理解するのがまず第一歩なんです。
このような状況で英語がうまくなるにはどうすればいいか?背景事情がわかれば非常に明確です。「今の生活や、考え方を変えずにできる範囲で」「英作文・会話などという、苦痛や恥ずかしさをともなう練習をせずに」「目的もなく」できることをすればいいだけです。
具体的には、読むだけ。
最近巷でよく言われるのですが、外国語を習得するにあたって、最後の仕上げ段階以外では、ほとんどインプットの学習だけでいいということがわかってきているようです。喋る、作文するという行為は頭の中に「膨大な例文集」があって初めて行えることであって、そのためには、まずとにかく読む、聴くのが重要。たくさん読む、聴くということだけに集中すればいいんです。発話や作文というのは、文法を勉強してその文法をもとに無理矢理組み上げる作業ではないわけです。例文集が頭の中にできて、楽に言葉が出てくるようになるのです。それまでは、喋る、英作文をするという行為は、時間の無駄です。(逆に言えば、英作文が苦痛にならなくなってきたら、英作文をしてもいいんです。)私はこれのおかげで非常に気が楽になりました。「苦痛な会話練習をしなくてもいい!間違って恥をかくこともないし、間違いを恥ずかしく思うメンタリティを変える必要もない!」この発見が私の英語観を変えたといって過言ではありません。
日本人、英文を読むことは、できないんですが、全くのゼロではないです。ぱっと見、確かに訳がわかりませんけど、時間はたっぷりあります。とにかく読むことに慣れればいいんです。最近は、マウスオーバーや、タッチだけで単語の意味が出てくるようなツールが沢山あるので、英文を表示させて、ポンポンと触りながら、読んでいけば、大体何のことを書いているのかわかってきます。読んで理解するスピードが上がってくれば、次第にリスニングもできるようになっていきます。リスニングするには、正しい発音も必要ですけど。発音はまあ、他人に聴いて貰う必要はないので、本を読んで自分なりに正しい発音を身につけようとすれば何とかなります。
言語というのは慣れ以外の何者でもないので、時間はとにかく沢山必要ですが、気合い入れて勉強する必要はまったくありません。通勤中の時間に何となくダラダラ読めばそれで足ります。Quoraでこんな長文を必死に書いちゃう私ですが、通勤中は何となくニュースを読む習慣がついてしまいました。とにかく読むだけで上達します。それが全てです。
素早く楽に読むことができるようになれば、全部できたも同然です。だって、読み続けて慣れ続けることができるんだから。リテラシーというのは偉大です。なおコミュニケーション力も必要ありません。だって目的は「英語でコミュニケーションをする」ことではなく「英語がうまくなる」ことですよ!
月並みですが私が実例です。30を過ぎても英語はまったく喋れず、聞いてもまったく理解できず、業務上の必要性もなく、海外旅行もせず、通勤時間以外にとりたてて勉強の時間も取らず、会話練習も英作文もせず、それでも今では英語で困らなくはなりました。ペラペラかというと微妙ですが、先日、「人生初の」海外出張でアメリカへ行き、初の英語プレゼンを行い、期待以上の成果を得て帰国しました。それ以外では英語を喋る状況なんか後にも先にもありません。TOEICも、完全な国内ヒキコモリ派としては破格の950点を取得しました。Quora英語版でも、ノンネイティブ丸出しの英語ではありますが、いくつか回答しています。一つだけですが、千数百の高評価を頂いている回答もあります。全ては、「発話練習・作文練習を一切しなかった」「文法も勉強せず、とにかく文章を読んで慣れることだけに集中した」「高すぎる目標を設定しなかった」から達成できたと考えています。もちろん、作文が苦にならなくなってからは、ようやく英作文は始めました。Quora英語版で回答するとか。英語に困らなくなったので、今は中文のニュースを読むことに通勤時間をあてています。30台後半や40になってから、日本に居ながらにして、会話することもなく、まったく喋れなかった新たな言語をマスターできるってわかったんだし。自信がつきますよ。
TL;DR:
適当に毎日英文を読むだけでいい。気合い入れて学習はしない。習慣になればそれでいい。
会話練習、作文練習はしない。高すぎる目標を設定しない。
英語学習の目的が漠然としているのは日本に居れば自然なこと。
意識高いアドバイスは聞き流す。間違いを恥ずかしく感じていいし、間違いを恐れ、避けてもいい。間違えなくても英語はうまくなる。
海外に行く必要もないし、コミュニケーション力も必要ない。

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出典:Quora 
どうしても英語がうまくならないのですが、どうすればいいですか?
 の初回回答者、池辺拓郎さまの回答より。


人それぞれの英語習得法。

やればできる。やらなきゃできない。


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