ウツのシアワセ

Facebookで年初にウツ抜けをカミングアウトしてから、周囲から理解の反応が多々あり、それに加えて「実は私も・・・」という人が随分といて、心持ちは随分とラクになりました。

知らない人がウツの人に接すると、単なる怠け者にしか見えません。しかし本人は実に深刻な状態にあります。心が動かないから体も動かない。

これだけは患った者でないと理解が極めて難しいと思います。ゆえに健常者とウツを患っている人との間には、理解において「見えないバリア」があるように思います。



ウツの症状は人によって様々ですが、私の場合は分かり易い特徴があります。
  • 日照時間が短くなっていくと患いやすい
  • ブレーカーが落ちたかのように生活が不活性になる
  • おおよそ3か月後、軽くなる兆しを感じ、その後に覚醒する
  • 覚醒後はブレーカーONで気力満タンになり、生活が強烈に活性化する
そんなわけで、私の場合のウツが明け後は、垂直立ち上げに近い強烈な回復を迎えます。

そして、ウツの間に体が弱っているのに心だけ先走ってあれもやろう、これもやろうと心が動き始めるので自分で制御するのがタイヘンです。そんなとき、隣にいる妻は優しくブレーキを掛けてくれます。

エネルギッシュな人がウツに成り易いのは、行動と心の振り幅が大きいからだと私は思います。単純な生活の中で日々を繰り返していると、ウツになる機会も訪れません。

なので、ドカーンと突っ走って、バタンと倒れて3か月、これを繰り返します。




家族はどう支えている?


ウツ持ちと一緒に暮らしている家族は、それはもうたまったものじゃありません。

健常者には行動や心持ちを理解するのが難しいうえに、ウツの間は「怠け者でネガティブ反応」のゾンビと一緒に生活しているようなものです。

私は都内で妻と二人でマンション暮らし。

その妻が私をどう支えているかと言うと、「大丈夫?」とも「頑張って」とも「しっかりしてよ」とも、何も言いません。そして先にも書きましたが、ずっと私に寄り添って観察し変化を見ています。


夫婦でパートナーがどんより真っ暗な状態が続くと妻の方も参ってしまいます。

ところが、普段は家にいる主夫の私に対して、フルタイムの妻は日中は家には居ません。家を離れれば反応の鈍い私を意識の外に置くことができるので、これが妻の心の負担を軽減しているように思います。

また、食べるものが用意されていれば、ウツの人は死にません。食事の用意は彼女が肩代わりしてくれます。そして私は一日、ぼーっとしています。


ウツが明けない人は、いない


私が通った精神科の医師は、ウツ真っただ中の暗闇の私にこう言いました。

「いつか必ずウツは明けます。ただそれが何時なのかは分かりません」

そして、

「ウツが明けない人は、いません」

そう静かに言い切ります。


確かに。

今迄の自分を振り返ってみても、確かにそうです。

ただ、真っ暗なトンネルの中をただ歩き続け、見えないトンネルの出口を目指すのは実に心もとないものです。後から振り返れば、何てことないのに。

過去の自分の傾向から、その先がぼんやりと見通せるのなら、なんとなく希望が持てます。前のウツの経験は、ここでも活きてきます。

人生、ナニゴトも経験だなあ、そう思います。



見守ってくれる人が居るだけで安心できる


ぼーっとしている様に周囲からは見えます。何も考えていない様にも見えます。また会話への反応が悪く愛想が至って悪くなります。

でも当の本人は時に死にたいほどのつらい心持ちの中にいます。
それはこんな感じです。

  • 何かやらなきゃ、と思うのに、動きたくない、ベッドから出たくない
  • やらなきゃいけない予定が入っているのに、手を付けたくない
  • 電話やメール、SNSも読みたくない
  • 食欲が無い、風呂も入りたくない
  • 外に出たくない

世界を飛び回っていた人とは思えない、これは正にアナグマ冬眠生活です。


そんな私ですが、いつかウツは明ける、ただそれを信じて無為な日々を耐えます。

そして、多くを言わず、普段と変わらず、ただ見守って寄り添ってくれる人が一緒に居るだけで、何の成果のない1日の終わりでも、目覚めたくない夜でも、安心して床に就くことが出来るのです。

これがウツのシアワセ。


こちらも参考に:(三河屋幾朗のQuora投稿)

うつ病の悩みを誰かに話すと、うつ病の回復に役立ちますか?

鬱(ウツ) って何ですか?どんな感じですか?(経験者の方のみ回答をお願いいたします)

鬱になりかけている場合、自分で自覚症状はあるものでしょうか?

ロングトレイルはうつの改善に役立ちますか?そのような研究結果はありますか?




人の生き死に、に関することもお話しできます。

あなたが心から伝えたいことはなんですか?
偶然は必然

あした死んでも悔いは無いか

人生の愉しみ方:死生観は「生きる」を見つけること




ではでは@mikawaya1960/三河屋幾朗







コメント

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  2. 「病まない雨はない」より先に、その傘をくれよ by 米津玄師『KICK BACK』

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