今世紀最高のCMに出会った:「さ、ひっくり返そう」

私は妻の影響で大相撲を見るようになりました。

もう10年ほどになります。それまでは、私にとって大相撲は単なる風景でしかありませんでした。最初は見るですが、そのうち観るようになりました。そして近くに住む地の理を生かして両国国技館へ足を運ぶようになりました。


日本の大相撲はかなり特殊な格闘技です。特殊とは何か?

無差別級だからです。

重量や体格によるカテゴリーがありません。通常はカラダが大きかったり、体重が重いと有利になる。それでイコールコンディションで競わせるために体重別に分けることになる。好例は柔道やレスリングですね。

大相撲にはそんな「手加減」はありません。

そして大相撲の一番面白いのは、小兵が巨人をぶち負かす姿。一寸法師です。
これほど痛快なものは無いでしょう。

今場所、それが毎日実現しています。炎鵬です。もう目が離せません。



炎鵬に感動した


大相撲初場所、小さな体で大きな力士をなぎ倒す。

ド肝を抜く大活躍を両国国技館で連日見せてくれる炎鵬を起用したCMです。

まずは見てみてください。

https://youtu.be/CLRhO69Ch3M

美しい。このカラダ、この顔。もう、美し過ぎます。

私はこのCMを見終えて感動しました。そこには二つの感動がありました。

ひとつ目はこの炎鵬と言う力士そのものです。彼の類まれなる運動能力は、白鵬と同じ部屋、そして白鵬に見いだされたということからも分かります。言うなれば、

超人です。

炎鵬がバッタバッタと大男をなぎ倒す、その瞬間をイマ見ずして何を見る。

私はイチローと同じ時代を過ごせる幸せをずっと感じてきました。これほどの天才は他に居ない。天が授けた奇跡の野球人、というよりはパフォーマー。それでいてストイックで言葉を選んで話す仙人。

同じ姿をこの炎鵬に見るのです。言葉より結果で示す。

今日は大相撲初場所の11日目。炎鵬は5勝4敗で勝ち星が先行しています。

あと5日間。目が離せません。



CMの作り方に感動した


二つ目はこのCMの作り方の秀逸さです。

まずは見てみてください。そしてそこに現れる文字にもう一度注目して下さい。

もう一度観てみましょう。


大逆転は、起こりうる。
 わたしは、その言葉を信じない。 
どうせ奇跡なんて起こらない。 
それでも人々は無責任に言うだろう。
 小さな者でも大きな相手に立ち向かえ。 
誰とも違う発想や工夫を駆使して闘え。 
今こそ自分を貫くときだ。 
しかし、そんな考え方は馬鹿げている。
 勝ち目のない勝負はあきらめるのが賢明だ。 
わたしはただ、為す術もなく押し込まれる。 
土俵際、もはや絶体絶命。 

さ、ひっくり返そう。

土俵際、もはや絶体絶命。
わたしはただ、為す術もなく押し込まれる。 
勝ち目のない勝負はあきらめるのが賢明だ。 
しかし、そんな考え方は馬鹿げている。
今こそ自分を貫くときだ。 
誰とも違う発想や工夫を駆使して闘え。 
小さな者でも大きな相手に立ち向かえ。
それでも人々は無責任に言うだろう。
どうせ奇跡なんて起こらない。
わたしは、その言葉を信じない。 

大逆転は、起こりうる。



見事なり文字のトリック。最高のコピー作成能力。誰が作ったのか?

気になりますよね。

FRONTAGEという会社です。コンセプトを語っています。
https://www.frontage.jp/work/20200110121416.html


お見事。

万雷の拍手を送りたいと思います。


この制作方法のからくりを解説する


あまりに見事なので、自分なりの解説を試みます。

製作者のコンセプトは既に公開されているので、それはそちらに譲るとして、私が考えるのはこうです。

これはイメージとキャラクター、そしてコピーライティングが総合力を発揮したハーモニーの妙です。

これにはルールがあるのです、戦略が全てです。つまりマーケティング能力です。
  • 驚かせる
  • 意表を突く
  • 見せたいものをど真ん中で魅せる
列挙してみれば何てことはないコトですが、想像力と創造力、クリエイティブとはこのこと、と言えるアイディアがその全てです。

そして「結果を先に見せる」

結果を先に見せているのですから、見る者は巻き戻していけばいい。

何なの?
まあそうね
えっ、そうなの?
なんでひっくり返るの?
えーっ、つじつまがあってる!
すごーい、すごーい、すごーい!

理解より先イメージを相手のアタマに描かせ、脳に焼き付けるのです。

このCMは理解せずとも納得させられます。つまり、

「理解する前に納得させる」のです。

これを見ただけで大相撲を観に行きたいと思いますね。

残念ながら西武とそごうに行こうと思わないのが、ちょっとですが、CM作者は直球勝負で売り場に来てねと考えてはいないので、西武とそごう、という名前はアタマに残ります。

結果を先に見せて、これ、誰?

何の宣伝なの?!

これがこのCMの狙いです。


ではでは@mikawaya1960/三河屋幾朗


参考







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